「私作る人 僕食べる人」 -昭和のCMキャッチコピー(1)
昭和のCMには、その時の時代の雰囲気や世相を色濃く反映するものがある。昭和レトロ大全では時代を読み解くキーワードとして、話題になったCMキャッチコピーを取り上げてみたい。第1回目は「私作る人、僕食べる人」である。
「私作る人、僕食べる人」は昭和50年(1975年)に即席ラーメン「シャンメン」(ハウス食品工業)のCMで用いられたキャッチコピーである。訪ねてきたボーイフレンドに即席ラーメンを作ったガールフレンドが「私作る人」といい、ボーイフレンドが「僕食べる人」というだけである。流行語が含まれているわけでも面白い表現になっているわけでもなく、一見何の変哲(へんてつ)もないキャッチコピーなのだが、このコピーは別の意味で社会に注目されることとなった。
このCMは放送から2ヵ月後に突如放送が中止されることとなった。ホームページ「放送事故、ハプニングタレコミコーナー」さんによれば、「国際婦人年をきっかけとして行動を起こす女たちの会」という団体がハウス食品工業に『「男は仕事、女は家事・育児という従来の性別役割分業をより定着させるもの」という理由でCM中止を要請』したというのである。
現代であれば特に何の問題も起こりそうにないようにも思えるCMだが、放送当時は1960年(昭和35年)にアメリカで起こったウーマン・リブ(女性解放運動)が全世界的に広がりを見せ、男女間の差別や女性蔑視(べっし)が問題視された時代だったのである。フェミニズム(女性解放論:女性の権利や自由自由を目指す運動)の思想の広がりはその後、1979年(昭和54年)の女子差別撤廃条約の国連採択や昭和60年(1985年)の男女雇用機会均等法の制定等に大きな役割を果たしたことはよく知られている。
見かけ上は男女の差別というものは大きくに縮小されてはいるが、それでも昇進や役職の男女間差別はなくなったとは言えないようである。今にしてみれば言葉狩りに近い感のあるこうしたキャッチコピーへの批判も、その当時の時代の雰囲気が表れているところは興味深いものである。
参考リンク
wikipedia http://ja.wikipedia.org/
放送事故、ハプニングタレコミコーナー http://www.jiko.tv/cm/stop.html
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